はじめに
こんにちは。クジライングリッシュです。
今日はリスニング力の向上について検索すると必ず出てくる『シャドウイング』という学習方法について思うところを書いていきます。

確かに、シャドウイングを専門にした有料アプリとかも結構あるよな。
個人的にはこの『シャドウイング』という勉強手法については、あんまりオススメしないというか、少なくとも効果がある人はかなり限定的なんじゃないかと思ってます。
自己紹介は、以下の記事まで。
端的に言うと、『TOEICを1ヵ月半・1日1時間の勉強で920点取った人物』であり、『英語学習者』であり、すなわち『英語学習の迷い人』です。
シャドウイングの定義と効果
シャドウイングとは
「シャドーイング(Shadowing)」は、英語を聞きながらそれを真似して発音する通訳訓練法のことです。英文を聞き終えてから繰り返す「リピート」とは異なり、シャドーイングは、聞こえてくる英文のすぐ後ろを影(shadow)のように追いかけるのがポイントです。
英語の上達のコツ「シャドーイング」とは | サイマル・アカデミー/通訳者・翻訳者養成学校サイマル・アカデミーは通訳者・翻訳者養成校として、1980年の創立以来数多くのプロを輩出。通訳者養成・翻訳者養成・英語強化など、高度な語学力を確実にキャリアに変える・活かす実践力を身につけます。学んだスキルを通訳・翻訳の現場で実践するキャリ...
ということらしいです。
引用元でこれ以上ないぐらい分かりやすく説明されてるので特に補足の必要もないのですが…。
リピーティングが所謂「リピート・アフター・ミー」的な、①英語が話される、②英語を聞く、③それを再現して発話するの流れなのに対して、①、②、③を同時に行うのがシャドウイングということになります。
都市部に住んでると、電車の中吊りなんかでもシャドウイング専門サービスである『シャドテン』の広告を目にするので、割と英語学習者からするとポピュラーな英語学習法なんじゃないかと思います。
シャドウイングの効果
シャドウイングの効果については、色々な意見があります。
例えば、先ほど引用した『サイマル・アカデミー』では以下のように書かれています。
シャドーイングが英語学習の方法として注目されている理由は、ネイティブスピーカーならではの「発音」、「英語のリズム」、「音の強弱」、「イントネーション」などを改善し、より伝わりやすい英語を身につけることができるからです。練習を重ねることで「リスニング力」、「スピーキング力」、「語彙力」の強化にも繋がります。
英語の上達のコツ「シャドーイング」とは | サイマル・アカデミー/通訳者・翻訳者養成学校サイマル・アカデミーは通訳者・翻訳者養成校として、1980年の創立以来数多くのプロを輩出。通訳者養成・翻訳者養成・英語強化など、高度な語学力を確実にキャリアに変える・活かす実践力を身につけます。学んだスキルを通訳・翻訳の現場で実践するキャリ...
つまり、リスニングのみならず、スピーキングや語彙といった総合的な英語力の強化ができる、と言っているわけですね。
一方で、こちらも先ほどの『シャドテン』では以下のように書かれています。
Q. シャドーイングは、文法や自分の言いたい事もきちんと喋れるようになるんですか?
また、スピーキングにも効果がありますか?A. シャドーイングは、リスニング、特に「音声を知覚する」力を鍛えることを主な目的とするトレーニングです。
シャドーイングを行うことで文法や発音の向上にも寄与する部分はありますが、あくまでもリスニング力向上を目的としてシャドテンをご活用くださいませ。 シャドーイング x 添削が、リスニング力アップの近道だった。 | シャドテン【公式】シャドーイングx添削の英語学習サービスあなたのシャドーイングをビジネス英語のプロが毎日フィードバック。リスニング力が上がるシャドーイングの学習効果を「添削」により最大化。ビジネスパーソンに人気の教材が1,000以上、アクセントも4カ国。正しいやり方で正しい音のインプットサイクル...
つまり、まあ副次的な効果はあるにせよ、メインターゲットはリスニングだ、ということですね。
まあ見解は色々あるにせよ、シャドウイングの効果は何はともあれリスニングだ、ということについては共通していそうです。
シャドウイングはやめておけ!?
このシャドウイングというリスニング力向上メソッドは、冒頭にも書いた通り、英語学習者の間でかなり市民権を得ている手法です。
TOEICに関しても、かなり多くの人が『リスニングの点数向上のためにはシャドウイングが最も効果的だ』と言っています。
ところが、です。
多くのTOEIC学習者にとって、シャドウイングが本当にベストな学習法かと言えば、私は確実にNOだと思っています。
その理由を書く前に、ちょっとだけ『なぜシャドウイングがここまで推されているのか』について考えていきます。
なぜシャドウイングはここまで推されているのか
リスニング力を強化するのって、リーディング力を強化するよりもはるかに難しいです。
理由は色々あると思うんですが、『方法論があまりない』ということが挙げられます。
リーディング力は、ある程度までは語彙・文法の暗記量に比例して伸びていくのに対し、リスニングは別に暗記すべき事項が明確にあるわけではなく、どうやって勉強したらいいか分からない、というのが多くの人の実感なのではないでしょうか。

厳密にいえば、発音変化の法則なんかは暗記した方がいいけどな。
まあこれは別で書くよ。
そんな中で、シャドウイングは数少ないリスニング力向上のための明確な方法論です。
そのため、『どうやってリスニング力を強化していいのか分からない迷い人』と『その迷い人に道しるべ(っぽいもの)を与えてお金を稼ぎたい人たち』の双方に推されているんだと思います。
では、なぜシャドウイングはやめておいたほうが良いのか
上にも書いた通り、シャドウイングは数少ないリスニング力向上のための明確な方法論です。
そして、もう一つ付け加えると、『私はシャドウイングには素晴らしい効果がある』と思っています。
では、なぜシャドウイングはやめておいたほうが良いのでしょうか?
答えは簡単です。
『シャドウイングは英語超上級者向けの学習法』であり、多くの人は『シャドウイングで実力が向上するようなレベルに達していないから』です。
シャドウイングは超ムズい
一旦冷静になってみて考えてください。
英語を聞きながらそれを真似して発音する通訳訓練法のことです。英文を聞き終えてから繰り返す「リピート」とは異なり、シャドーイングは、聞こえてくる英文のすぐ後ろを影(shadow)のように追いかけるのがポイントです。
英語の上達のコツ「シャドーイング」とは | サイマル・アカデミー/通訳者・翻訳者養成学校サイマル・アカデミーは通訳者・翻訳者養成校として、1980年の創立以来数多くのプロを輩出。通訳者養成・翻訳者養成・英語強化など、高度な語学力を確実にキャリアに変える・活かす実践力を身につけます。学んだスキルを通訳・翻訳の現場で実践するキャリ...
- 英語を聞きながら、
- それを認識し、
- それを真似して発音する
※しかもここには書かれていないですが、『正確に模倣』しないと効果は薄いです
こんなことあなたにできますか?

少なくとも俺にはムリだな
シャドウイングというのはもともと通訳者のためのトレーニング手法です。
逆に言えば、『通訳者レベルの実力 = シャドウイングが求める実力』とも言えます。
通訳者レベルの実力というのを言い換えれば、TOEIC程度の試験でヒィヒィいうことは全くないようなレベル、ということです。
でも、TOEICに効果あるって書いてるよ
シャドウイングを推している英語教材やサービスの中には、『TOEIC対策』を打ち出しているものが少なくありません。『シャドウイングはTOEICに効果アリ』をうたって、実際に数値を出してたりもします。
私はシャドウイングがTOEIC対策として無意味だ、というつもりはありません。
ただ、これは非常に大事なことなんですが、その手のサービスは大抵の場合以下の観点を(意図的に)見落としています。
シャドウイングではなく、別の勉強法を使っていたら、どのぐらいスコアは伸びていたのだろう?
理系っぽく言えば、『対照実験ができていない』んですね。
これではシャドウイングで成績が伸びたことは分かっても、『本当にシャドウイングが効率的な勉強法なのか』はわかりません。これが論文ならハッキリ言って論外です。
宣伝手法としてはちょっといかがなものかなと思いますが、まあ仕方がない。
受け取り手側でなるべくスクリーニングできるようにしましょう。
それから、そうしたサービスを受けると分かるのですが、彼らが提供するシャドウイング教材を真面目に履行しようとすると結構な時間がかかります。
- 何十回も英文を黙読して
- 何十回も英文を音読して
- 何十回も英文をリスニングして
- それから初めてシャドウイングに取り掛かる(これも何十回も)
余裕で1時間ぐらいかかるんですよね。そんなレッスンが毎日届きます。
それが良いか悪いかはさておき、毎日1時間英語に触れてればそれがシャドウイングであろうが他の何かであろうがそれなりに成果は出るだろ、という気がします。
じゃあ、どうすれば良いっていうんだよ!

シャドウイングの文句ばっか言ってるけど、じゃあどうすりゃいいんだよ?
続きは別記事で…と言いたいところですが、本当に簡単に私が考える『ベストなリスニング学習法』をご紹介します。手法というよりは、心構えに近いレベルです。
ネイティブが読み上げた短い英文を、可能な限り丁寧に模倣すること
これです。
具体的には、
- まず、『短文を聴く⇒完璧にトレースするつもりで音読する』を繰り返す
- 次に、同時に音読する
やってみると分かると思うんですが、完璧にトレースできたと思っても、同時に音読してみると驚くほど自分が模倣できていないことに気づきます。
『模倣できていない箇所=自分の音声認識にない箇所』だと言えますので、そこを繰り返し重点的に模倣することで、英語の『聞き取れない』は劇的に改善していくはずです。
結論:シャドウイングが「刺さる人」「刺さらない人」
シャドウイングは、確かに英語学習法として一理ある手法です。
でもそれはあくまでも、『既に一定レベルのリスニング力がある人』にとって、です。
- ✔ 既に発音変化・リズム・抑揚をある程度聞き取れる人
- ✔ 模倣の精度に集中できる余裕がある人
- ✔ 毎日1時間近くシャドウイングに投下できる人
――そんなあなたは、ぜひシャドウイングを極めてください。
でもそれ以外の人(たぶん大多数)は、「もっとシンプルで、効果の出る方法」から始めたほうが、心も時間もラクになるはずです。
この記事のまとめ
- シャドウイングは「聞いて・理解して・即発話する」鬼ムズな手法
- 通訳トレーニングが起源なので、超上級者向け
- TOEIC対策には過剰な場面が多く、コスパも低い
- 代替案:短文音読+精密な模倣を繰り返す
あなたの英語学習にとって大事なのは、「流行の学習法をやること」ではなく、「自分に合う方法で続けること」です。
よかったら、他の記事も読んでみてください。
また次回、お会いしましょう。
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